AIは「物知り」から「働き者」へ。MCPサーバーが変えるデータ活用の現場

生成AIの導入が進む中で、多くの企業が「チャットボットを作ったけれど、業務があまり楽になっていない」という壁にぶつかっています。

社内規定を検索して要約してくれるのは便利ですが、結局その後の申請手続きや基幹システムへの入力は、人間が手作業でやっている――そんな状況ではないでしょうか。

今、AIのトレンドは「質問に答えるだけのAI（物知りなAI）」から、「自律的にシステムを動かすAI（働き者のAI）」へとシフトしています。今回は、その鍵となる「Agentic RAG」と、それを実現する技術「MCPサーバー」について、現場目線で解説します。

従来のRAGと「Agentic RAG」は何が違うのか？

これまでの生成AI活用では、RAG（検索拡張生成）という技術が主流でした。これは、AIが回答する前に社内ドキュメントを検索し、その情報を参考にして答える仕組みです。

しかし、従来のRAG（Native RAG）には限界があります。 それは、「検索して、答えて、終わり」という点です。

例えば、「A社の先月の売上はどうだった？」と聞いて、もし検索結果に関連資料がなければ、「分かりません」と答えるか、もっともらしい嘘（ハルシネーション）をつくのが関の山でした。

「Agentic RAG」は自分で考え、試行錯誤する

これに対し、今注目されている「Agentic RAG（エージェント型RAG）」は、AIがより人間らしく振る舞います。

情報が見つからなければ、「このキーワードではヒットしなかったから、別の言い回しで検索してみよう」と再検索したり、「売上データなら、ドキュメントではなく販売管理システムを見に行こう」と判断したりします。

つまり、自律的に考え、試行錯誤しながらタスクを完遂しようとするのです。これが「物知り」から「働き者（エージェント）」への進化です。

AIに「手足」を与えるMCPサーバー

しかし、AIが「販売管理システムを見に行こう」と思っても、実際にシステムにアクセスする権限や手段がなければ何もできません。

そこで重要になるのが、MCP（Model Context Protocol）という技術です。

MCPは、AIモデル（Claudeなど）と、社内のデータやツールをつなぐための「標準規格」です。これを導入することで、AIは以下のようなことができるようになります。

1. 社内データを探す：データカタログを検索し、どこに何があるか把握する。

2. システムを操作する：APIを通じて、データベースから最新の在庫数を取得したり、日報を登録したりする。

MCPサーバーはいわば、AIにとっての「手足」です。これがあって初めて、AIは画面の中に閉じこもった存在から、実業務をこなすパートナーになれるのです。

実装の壁：どうやって社内システムを「AI Ready」にするか

理論は分かっても、実装には課題があります。「うちの古い販売管理システムに、どうやってAIをつなぐんだ？」という問題です。

ここで、ROBONの製品群と、データ連携ツールのアステリア株式会社様の製品が連携することで、解決策が見えてきます。

1. AIにデータの「意味」を教える（ROBON製品）

まず、AIが社内にどんなデータがあるかを知る必要があります。

• データカタログ「Mashu」（ROBON）: MCPサーバー機能を搭載し、AIが社内データの所在や意味（メタデータ）を直接検索できるようにします。

2. 既存システムへの「入り口」を作る（ROBON製品）

次に、AIが古いデータベースにアクセスするための窓口が必要です。

• API生成ツール「Veleta」（ROBON）: 既存のRDBMS等に対し、AIがアクセスするための「Web API」を自動生成します。これにより、MCPサーバーとしての実装を容易にします。

3. 複雑なシステム連携を繋ぐ（アステリア製品）

そして、複数のシステムを跨ぐ複雑な処理や、ノーコードでの柔軟な連携が必要な場面では、専用の連携ツールが不可欠です。

• データ連携ミドルウェア「ASTERIA Warp」（アステリア株式会社）: 国内シェアNo.1の実績を持つ連携ツールです。MashuやVeletaと組み合わせることで、AIからの指示を受けて、より高度で複雑な業務フローを自動実行する基盤を担います。

これらを適材適所で組み合わせることで、既存システムを大きく改修することなく、最新の「Agentic RAG」環境を構築することが可能になります。

【1/16開催】最新アーキテクチャを解説するウェビナー

「概念は分かったが、具体的にどう構築すればいいのか？」 「MCPサーバーの実装例を見てみたい」

そうお考えの方に向けて、データ連携のアステリア株式会社様と共催で、ウェビナーを開催します。

• 日時： 2026年1月16日(金) 14:00～15:00

• 形式： オンライン（Zoom）

• 共催： アステリア株式会社、株式会社ROBON

本ウェビナーでは、どのようにLLMを「よく考えるAI」へと進化させ、

具体的な業務自動化やデータ活用の高度化を実現するのかを解説します。

AI活用を「検索」で終わらせず、「実行」へと進めたいエンジニア、DX担当者の皆様。ぜひご参加をお待ちしております。

▼ ウェビナーの詳細・お申し込みはこちら

[https://asteria.zoom.us/webinar/register/9217206051620/WN_V_gNLmMuQ5qriHj4HuaAYw#/registration]

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